思考停止の一例

友人からこんな話を聞いた。
彼の勤める会社の入っているビルは、平日は23時に警備会社によって入り口が施錠され、内側からは解錠できるが外側からはキーがないと解錠できなくなる。朝5時には、警備会社が入り口を解錠するのだが、最近、解錠されてから近くのホームレスが侵入し、トイレや給湯室を勝手に使うらしい。
業を煮やしたビルの管理会社が、トレイや給湯室に鍵がかかるように扉を改造し、いないときは施錠するようにとの指示が、各テナントに届いた。ただ、テナントによっては、徹夜する社員の多いテナントもあり、友人の会社もよく社員が会社で夜を明かすらしい。管理会社からの指示によれば、部屋に誰かがいるときも、トイレや給湯室を施錠しろとのこと。ただ、これはなかなか面倒である。


話を聞いていて思ったのだが、ホームレスがオフィスビルに入ってきて、トイレや給湯室を勝手に利用するのは、建造物侵入にあたると思う。つまり、刑法で罰せられる違法行為である。オフィスビルに侵入しているホームレスを見つけたら、警察を呼べばいいのではないか。まあ、警察も忙しいだろうから、ホームレスの建造物侵入くらいで呼んだら警察に怒られそうだが、百歩譲って、警備会社の警備員を呼んではいけないのだろうか。警備会社というのは、不法侵入する人物を排除するのも仕事のうちではないのだろうか。本来、不法侵入を防ぐべき警備会社に仕事をさせず、テナントにコスト(というほどではないが)を払わせるというのは、筋違いではないか。そして、筋違いのことを聞いてきて、「この人がそう言ってるから、みんな守りましょう」というのは、いかがなものだろうか。日本人によく見られる、「お上がああ言ってるから、守りましょう」という思考停止のいい例だと思った。